■はじめに
ロングトレイルに出かける際、最初に開発したのがフード無しのロングスリーブメリノTシャツでした。
初めて挑戦したアメリカのトレイルでは日焼けが大きな課題となり、フード付きタイプの必要性を実感しました。
フードは万能ですが、インナーとして使用する際に少し邪魔になることもありました。
そこで2022年にパターンをブラッシュアップし、インナー・ミドルウェアとして快適なTシャツへと進化させました。
高品質なウール生地を使用し、カンガルーポケットを備えることで、手拭いや小物の収納、 水場が遠いシチュエーションでも手ぶらで移動できる工夫を施しています。

■開発ノート - PCT 4200kmを歩いて得た知見
ウールには優れたメリットがある一方で、チクチク感や縮みやすさ、耐久性の課題もあります。
MIYAGENではこれらのデメリットを解消するために試行錯誤し、ウール100%の快適性を最大限に活かした製品を開発しました。
ウールの持つ高い保温性、吸湿性、防臭性、UVカット性能を維持しつつ、縮みや摩耗を防ぐために特別な加工を施しています。
高コストなウール生地ではありますが、その快適性と汎用性を体感し、多くの人に届けることを決めました。

■第三者機関認証のメリノウール
本製品には100年以上の歴史を持つイタリアの老舗生地メーカーの高品質ウールを採用。
ニュージーランドの自社牧場で厳選された原毛を使用し、一貫生産による徹底した品質管理を行っています。
環境への配慮も積極的に行い、染料の自然分解や太陽光エネルギーの活用など、SDGsに貢献する取り組みを推進。
採用した"Super 120"メリノウールは極めて繊細な糸を使用し、毛羽立ちが少なく、しなやかでチクチク感のない着心地を実現しました。

■ウールの特性と特殊防縮加工
ウールは水を弾きながらも吸収する特性を持ち、保温性が高く、防臭性や難燃性にも優れています。
しかし、フェルト化しやすい特性があり、特にバックパックとの摩擦で縮みやすい問題がありました。
そこで、MIYAGENでは「多重防縮加工」を施し、ウール本来の特性を損なわずに耐久性を向上。
吸湿速乾性、通気性、保温性、抗菌防臭性を兼ね備え、洗濯後の乾燥機使用にも対応できるよう設計しました。

■ロングトレイルのためのデザイン
ロングスリーブメリノフーディの最大の特徴は、立体裁断のフードと大きなカンガルーポケットです。
フードは強い日差しから頭部を守り、ウールの吸湿・遮光性能により夏は涼しく冬は暖かく、季節を問わず快適に使用可能。
メインボディは動きやすさを重視したややオーバーサイズ設計で、シンプルな縫製により突っ張り感を軽減。背面は長めに設計し、 かがんでも裾が捲れにくい仕様にしています。
■カンガルーポケット
カンガルーポケットは手を温めるだけでなく、手ぬぐいやカイロを入れて腹部を温めたり、cold mealの調理、 ペットボトルの収納にも活用可能。一般的なコスト削減のための生地変更はせず、すべてウールで統一し、温かさを優先しました。